第66次全国教究集会

新潟市(2017年2月3~5日)

 北薩労安が発表しました。

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キーワードは「戦略」

 

せんりゃく【戦略】

 長期的・全体的展望に立った闘争の準備・計画・運用の方法。戦略の具体的遂行である戦術とは区別される。

 ⇔せんじゅつ【戦術】

①個々の具体的な戦闘における戦闘力の使用法。普通、長期・広範の展望をもつ戦略の下位に属する。  ②一定の目的を達成するためにとられる手段・方法。 「牛歩-」 
《大辞林》

《共同研究者・日教組弁護団》からも

高評価アドバイス

2日目

 労働時間の問題に関しては,これは労働時間を適正化するのは当然のことながら,学校設置者の責任なわけですよね。

 だから,勤務時間の把握が必要になる。

 

「勤務時間を管理する」ためにやるのではなくて,「労働時間を適正化する」ために勤務時間を把握する。ちゃんと把握していなければ適正化するつもりがないんだ,とこういうことになるわけです。

 

 ですから,そこのところは大きなポイントで,勤務時間を把握するために何が必要かというのは,実は去年のレポートでかなり出てきたので,個別具体的な問題ですね。

 

 もし,そこの部分のポイントをもう一度整理したいという方は,『日本の教育』とかで私の方がポイントをいくつかまとめておきましたので,もう一度それを参照してください。 

 

 今年は適正化をどういうポイントでというのは,あまり多く出てこなかったようで,これは個別具体的な問題なんですが,これはまた,ご参照頂きたい。 

 

 でも,適正化しなければいけないのは学校設置者の方の責務なんだ。

 だから,労働基準法でも労働時間を把握しなさいとなっているということなんですね。

 だから管理するということに,把握していって活かす。

 ここがポイントだと思います。 

 

 それから,労働安全衛生に関しても,これは,労働者の健康あるいは安全に対して配慮する義務があるのは当然,事業者の側なんです。

 だから,労安体制の確立というのは事業者の責任であるということになるんです。

 

 じゃあ,労働安全管理者や推進者になると,事業者の責任を肩代わりしているのかと,こういう議論も出てくる訳なんですけども,それは,まあ,これはあくまでも戦略の問題なんですけども,鹿児島がやられているように,これを切り離すという考え方もあり得るんですね。

 

 大分なんかも去年こうした報告がありました。

 つまり,責任がある人に対して責任を自覚してもらうために実態を調査し,あるいは問題点を抽出する活動をやる。

 それが衛生委員会であり衛生推進者であるという位置づけ。戦略的な位置づけをすればうまく活用するという方法論もあり得ると思うんです。

 

 ただ,先ほど広島からもありましたけど,注意しなければならないのは責任を担うわけではなくて,責任を担う方に自覚させるためにやるんだと。

 今日の鹿児島の報告152ページあたりにメリット,衛生推進者になるとこういうメリットがありますよということが紹介されています。

 

 こういうところは大きな点で,どういうメリットがあると言うことを意識しながらそのメリットにあわせて活動していくという戦略的ですね。

 これがないと,先ほどありましたように,仕事だけ増えていって,大変な思いをするとか,衛生推進者になったり,その委員会の中に入っていって,その人が孤立をするとか,多忙化を生むとか,だからメリットを分かった上でそこにアプローチをしていくという,まさに鹿児島がやっておられるように,どこをめざすのか?何が重要なのか?ということを,ポイントを押さえてやっていただくというのは非常に大事なことじゃないかなと思います。

 

 ですから,この衛生委員会については“戦略性”が必要だと。

 ただ入るのではなく「何のために入るのか」「どこをめざすのか」という“戦略性”をぜひ前提として自覚していただければ,鹿児島の報告はそういうものだったと思います。

  3日目

   衛生委員会を戦略的にやられている鹿児島,岩手,大分。

 これは,制度は制度としてあるので,それをどう“戦略的”にいかしていくか,そこに入っていくときにそういう視点をもつかどうかで,全然違うんですね。

 

 受動的に入っていってしまうと負担が増えるだけになってしまう。

 でも,戦略的に入っていく視点を持ち,あと,それを交流をしていろいろ意見を闘わせて,ここは問題だよねというところは修正をする。

 あるいはそういう状況を集約してそれを活かしていくという少しずつ前進していって戦略的に持っていくという,非常にいい視点で,ここら辺の実践はみんなで学んでいければいい。

 

 そして各地で交流して,戦略的にやってたんだけど,ここでちょっと問題が出るよねってところは,ぜひ交換をしていただきたいと思います。

 

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『日本の教育・このリポートに学ぶ』

にも掲載

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「2017日本の教育 このリポートに学ぶ」.pdf
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レポートはこれ ⤵ 

ダウンロード
第66次全国教研 第20分科会 地域における教育改革とPTA(A 職場の民主化)
PDFファイル 637.2 KB

↑ 日本百名山・妙高山(新潟県)

 

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D・D・D  (3D) 大切なのは「再現性」

 

こでも・だれでも・だいじょうぶ!

 

衛生推進者 きる人はやってみたら?

 

【65次全国教研レポートの概要】 2016.2 in 岩手

 

月1回の衛生委員会が職場を変える

           

~衛生推進者1年目のとりくみ~

  

 

鹿児島県X市は,県北西部に位置し,Y市とZ市に隣接する自然豊かな市である。

 

今回は衛生委員会のとりくみについての報告である。

 

◯◯小学校は,静かな田園の中にある子どもの数40人の学校である。

昨年度,転勤して先ず感じたことは,午前中は職員室で座って他の教員と話をする時間もないほど忙しいということであった。

 

8時15分始業だが,8時からは,ボランティアを呼びかける放送があり,ほとんどの子どもたちが参加していた。学級担任の多くは,出勤したら先ず,パソコンの電源を入れて仕事をする姿が見られた。日程変更なども分会に提示なしで当たり前のように職朝などで教頭が提案する状況であった。

 

そこで,先ず,4月中に協約交渉を行うことにした。

未組の声を聞き分会交渉を行うことで,日程変更などの提示,出退勤調査実施,分会掲示板スペース確保,日曜参観の内容改善等,幾分か改善することが出来た。

 

しかし,過密な日課表が原因で,休息や休憩も十分にとれず,毎日多忙な状況にある事や行事の削減をどうすればいいか等の解決策をなかなか見いだせない日々が続いていた。

そういう時にヒントになったのが,鹿教組北薩地区支部の労働安全衛生のとりくみである。

  

 北薩地区支部では,2012年度から労働安全衛生対策会議を毎月開催し,とりくみの交流や支部の労働安全衛生活動を進めるための内容検討を行っている。

 当初,3、4人で進めてきた対策会議であったが,支部のとりくみの結果,昨年度には衛生推進者養成講習受講者(有資格者)が18人となった。

 

 そこで現在は,養成講習受講者,各分会に参加を呼びかけて開催している。今年度は,有資格者は35人になり,衛生推進者をしている組合員も増え,さらに学習・とりくみが深まってきているところである。

  

また,労働安全衛生活動を一層充実させるために,北薩地区支部では,全地区協で地区協学習会を開催したり,「北薩労安対策会議」というホームページを作成し,とりくみ紹介や相談窓口を設置したりしている。

 

さらに昨年度からは,小学校・中学校・特別支援学校の教職員を対象に「基礎からの労安セミナー」が8月に開催されており,今年度は,遠くは奄美大島,鹿児島市,南薩からの参加もあった。労安セミナーへ参加したり,労安対策会議で学習する事で「日課表の改善や行事の精選にもつながるかもしれない」と思うようになった。

 

先ず行ったのが業務改善アンケートの実施である。

衛生委員会のメンバーでもある分会の先生と相談し,衛生委員会でアンケートを実施してもらうことにした。

未組の教員からも改善策が多く出され,それをもとに職員会議や教育課程編成会で話し合い,今年度に向けて業務改善を進めることができた。大きく改善できたのは,日課表と行事である。

 

日課表では,朝読書(10分間)と業間の活動(10分間)を廃止することで,1校時後の休み時間(5分間10分間)と2校時後の休み時間(10分間→15分間)の確保や給食時間の延長(40分間45分間)(準備や片付けにゆとりを持たせるため)をすることができた。また,総合的な学習,日曜参観等の行事の精選を行うこともできた。

 

他に,土曜授業が実施されることに伴い,教育課程の見直しを行い,始業式・終業式の5時間授業を4時間授業にすることや衛生委員会を教育課程に位置づける(月1回)こともできた。

  

支部の労働安全衛生対策会議で学習する中で,分会員が衛生推進者になり,衛生委員会を進めている学校では,超勤を大幅に削減していることが分かり,私も衛生推進者になってとりくみを進めることにした。昨年の11月には,衛生推進者養成講習を受講し,今年度から衛生推進者になることができた。

 

今年度の衛生委員会のとりくみとして,先ず,労安対策会議での資料を参考に,衛生委員会規定(目的・年間計画など)を作成し,衛生委員会の運営について確認した。

 ◯最低月1回以上の開催 

 ◯法定事項の調査審議の留意点:

  ①調査審議することが最終目的ではないこと

  ➁調査審議機関であり,意思決定機関ではないこと

  ➂多数決ではなく,全会一致を目指すこと

 ◯議事録の作成と3年間の保存等

  

本校の衛生委員会体制は,メンバーは,校長・教頭・衛生推進者(◯◯)・委員2人(養教・分会員),年間計画は,8月以外毎月開催となっている。

  

衛生委員会のとりくみ例として,先ず,4月の職員会議で出退時刻記録カードの記録についての年度当初確認を行い,第1回衛生委員会(4月)では,衛生委員会の目的・年間計画について説明した。               

 

2回衛生委員会(5月)からは,勤務時間調査結果について(結果・医師の面接指導該当者・定時退庁日)と業務改善のための調査アンケート結果報告については,毎回行うことにし,その他の事項については,年間計画や職場の必要性に応じて話題にしている。その他の事項例として              

 

◯ 職員用救急用具・冷蔵庫整理・結露対策について 

◯ 受動喫煙対策 

◯ 休憩時間について        

◯ 休暇制度について(年休・特別休暇・病休等)  

◯ 出産前後に関する休暇等について

◯ ワーク・ライフ・バランスについて 

◯ セクハラ・パワハラ校内研修 

◯ 関連通知等

◯ 全国労働衛生週間について  

◯ 勤務時間の適正化(超勤縮減)に向けて等がある。

 

今年度は,その月の超勤・多忙を忘れないうちに,業務改善のアンケートを毎月実施し,アンケート結果(改善策)をもとに衛生委員会で実際にどう改善するかについても話し合っている。

その結果,来年度から改善できることとして,午後7時から行われているPTA総会を,来年度は勤務時間内に実施することや,校区合同運動会の種目を削減すること等を決定している。

 

また今年度は,朝の交通指導など(短時間の時間外勤務)の回復措置の保障,一日遠足の日の休憩時間の保障,学期末の学級事務の時間の確保などもできるようになった。そして,時間がかかる総合的な学習の内容見直しなども行うことができた。

 

 このように,本校では,少しずつ業務改善がなされ,働きやすい職場になりつつある。これは,分会交渉プラス,衛生委員会のとりくみで実施できたことである。確かに分会交渉で職場環境を改善することもできるが,なかなか改善できないこともある。

 

 昨年度,分会交渉で過密な日課表のことを話題にしたが「会議の時間を確保するために先生方が決めたことですから」と管理職に言われ,悔しい思いをしたこともある。

 私も,北薩支部に来る前は,衛生委員会の重要性を感じておらず,寧ろ多忙につながる形式的な会議の1つで,学期に1回で十分だと思っていた。出退時刻調査にしても,記録することが面倒なだけで,これを根拠に超勤削減につなげていくということは思ってもみなかった。

 

 しかし今は違う。

 出退勤時刻調査を行い,衛生委員会を通して結果を公表し,分析し,超勤の実態があることを根拠に業務改善のアンケートを実施し,アンケート結果から超勤削減ができると実感している。

 

 そして,そのためには,衛生委員会を毎月実施すること,可能ならば分会員が衛生推進者となって進めていくことが大切である。衛生委員会のとりくみは,「多忙化・超勤排除」「労働条件改善」等につながる。今年度は,2校時後の休息時間には,お茶を飲みながら,子どものことを話題にすることも増え,未組の教員から「今年度は,去年よりゆったりと仕事ができます。」という話もあった。

 

 来年度は,完全複式になり,教員が1人減の予定であり,今年度より仕事量が増えることは確実である。今年度より,超過勤務は増えると予想されるので更なる業務改善を進めていかなければならない。複式学級の多忙化解消をいかに進めていくかも課題である。

 定時退庁日も毎週水曜日と決まっているが,行事の前日などはどうしても早く帰れない実態もある。また,休憩時間や持ち帰り仕事の記入も呼びかけてはいるが,記入されてないことが多いので,超勤削減につなげるためにも正確な労働時間把握を行う必要があると感じている。

 

 今後も支部の労安対策会議で学習し,今年度の課題が解消できるよう,衛生推進者として,とりくんでいきたい。 

 

全国教研で高い評価!

 私たち北薩労安対策会議の仲間が、

65(2016)教育研究全国集会で

報告発表しました!

 

  日本教職員組合(日教組)の第65回教育研究全国集会は2月5~7日、岩手県滝沢市砂込の岩手産業文化センター(アピオ)などで開かれました。

 

 岩手県開催は1997年以来19年ぶり4度目で、全国の教職員ら延べ約1万人が参加。教育実践の研究を報告するリポート683本を提出し、各分野ごとに議論しました。

 そのうち、「民主的な学校づくり」の分科会では、全国から「労働安全衛生」に関するレポートが多数報告されました。

 北薩労安会議の仲間からは「月1回の衛生委員会が職場を変える」と題して、これまで2年間の学校改革のとりくみが報告されました。

 以下、報告者の感想です。

 

・自分が発表する衛生委員会のとりくみに対し、どのような反応があるか不安と期待が入り混じっての参加であった。

 

・「衛生管理者(推進者等)が責任を問われることがあるのではないか?」という質問や「管理職がなった方がいいのではないか。」という意見があった。

 

・これに対し、共同研究者である日教組本部弁護団の弁護士から、

「事業者が責任を持つのは当たり前で民事的な責任を問われることはない。どこまで各職場でスタンスをとれるか。できるのであれば衛生推進者をやればいい。裏付けのある発言ができ、問題を指摘し改善させることができる。それが鹿児島のとりくみによく出ていた。」という助言もあった。

 

 これまでの北薩労安の主張の正しさを全国レベルで確認することができました。

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《『日本の教育』P319から引用》

 (共同研究者・日教組弁護団から)

 また、衛生委員会を毎月開催し分会員が衛生推進者となることが重要という意識もとで、出退勤時刻調査を行い、委員会を通じて結果を公表し、超勤実態を根拠に更に業務改善のアンケートを実施し、結果から超勤削減につなげる連続的なとりくみが報告された。(鹿児島・小)。

 「安全・健康配慮義務」を履行すべき責任者は使用者で、労安推進の基本原則は事業者責任である。組合員が衛生管理者等の資格を取ることに積極的意味づけをして、労働者が積極的かつ対等に意見を言える衛生委員会のシステムを作り上げ、それを活用して使用者の資質を問い、多忙化や職場環境の改善につなげていくという労働者保護法制を活かした戦略性に注目したい。

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  くわしい還流報告は 

  2016年3月3日(木)

川薩教育会館で行われました。

 

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↑ 日本百名山・岩手山(岩手最高峰)