長時間労働対策として、3つの方法があります。

法改正、定数増、業務削減です。

このうち、学校で取り組めるのは業務削減です。

 

6年間で3,000時間の超勤を削減してきた自分の経験から言いますと、多忙の半分は学校で作られています。

残りの半分は教育委員会です。

その辺の分析、自覚が必要に感じます。

 

スマホをお持ちの方、今すぐチェックしてください。

北薩労安を検索して、業務改善のページを開いてください。

そこには北薩で取り組んだ240余りの実践例を紹介しています。

 

これらは、今年2月の全国教研でも報告し、日教組弁護団は、

 

 「ただ衛生委員会に入るのではなく『何のために入るのか』『どこをめざすのか』という“戦略性”を前提としてやっていくのは非常に大事なことで、鹿児島の実践はみんなで学んでいければいい。」

と、その戦略性を絶賛しました。

 

 昨年の大会で、北薩はそれまで毎年出してきた「できれば、衛生推進者をやればいい」という修正案を出しませんでした。

 

 それは、書記長の「北薩の修正案が否決されるので労安が足踏みする」という言葉を受けて「忖度」したものです。

 その辺の経緯を執行部は十分踏まえ、もう少しスピードを上げて欲しいと思います。

 

 総括では、ほとんどの支部で「労安委員会は機能していない」とあります。

 しかし、その機能していない支部労安委員会で、「分会・地区協の成果の交流を図れ」とも書いています。

 これは、さすがに無理な話です。

 0×0=0 です。

 火のないところに火事は起きないんです。

 

 では、どうしたら良いか?

 4年前、北薩に赴任した1人の組合員Kさんの実践にヒントがあります。

 彼女の学校は完全複式でPTAや地域行事も多くありました。

 衛生委員会は学期1回、超勤削減や多忙解消する内容とは程遠かったのですが、それでも、「推進者は管理職がすべき」という考えを捨てきれませんでした。

 

 その後、研修や行事への不満、持ち帰り仕事の実態などを衛生委員会のアンケートに書いても全く改善は見られず、3年経過しました。

 それでも「あったことをなかったことにはできない」として、「推進者は分会員がすべき」と思うようになったそうです。

 

 その考えに至ったもう1つの理由は、

①先進的取組が身近にあった。

②支部で学習会が毎月定期的にあった。

③すぐに真似できる資料があった、ことでした。

 

 全く経験がなく、衛生推進者になって大丈夫かという不安はありましたが、毎日の多忙化を何とかしたいという思いが強く、わからないときは頼れる場所があったことが、踏み出す大きな力となりました。

 

 わずか1年で、今では、毎月衛生委員会を開催し、地道に職場アンケートを取り続け、職場改善に生かしている、と明るく語ってくれます。

 

 これこそが北薩の目指す、戦略的衛生推進者の姿です。

 超勤対策にあれこれたくさん方法があるわけではありません。

 成功例は限られています。

 

 今では文科省でさえ「衛生委員会を活用せよ」といっています。

 衛生委員会をどう活用するのか?正解を知っている人は誰かを知ることが、正解への一番の近道なのです。

 

 昨年は18人が推進者講習を受けました。

 今後、推進者をどう育て、どう業務改善につなげていくのか、そして裾野をどう広げていくのかという戦略的方針が今、問われています。

 

 がんばろう衛生推進者!

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

三角形を組合だとします。

 

一番上におられるのが自燃(じねん)型

自分で自分に火をつけて燃えていける人。

ほっといてもいい。

自分で越えていける人。

 

 

三番目にいつの時代もいる、不燃型…

何をやっても燃えてくれない人。

余分なことをしたら損だと思っている人。

 

 

うちの支部にはこの下に、消火型という人もいます…。

ここ、笑うところですよ!!

 

 

でも、大多数の人はきっかけがあると火がつく。

きっかけがあったら燃える人。

可燃型なんです。

 

 

ほくさつ労安の使命は、この人たちにをつけることなんです。

 

◆第81回 鹿教組定期大会(2016年6月3日~4日)

 

 みなさん、こんにちは。

 

 原案に賛成の立場から討論に参加します。

 

 昨年まで北薩支部は、「できれば、衛生推進者をやればいい」という修正案を、毎年出しては否決されてきました。

 

 今年はもう出しません。

 というのも、その必要が無くなりました。

 

 その証拠に、4人の発言を紹介します。

 ●日教組本部顧問弁護団(2016.2 全国教研で)

 「できるのであれば衛生推進者をやればいい。」

 修正案とまるで同じですね。

  

 ●日教組本部組織労働局長(2016.6)

      「衛生推進者は本務外だからやらないという方針は、日教組にはない。」

 

 ●鹿教組本部執行委員長(2014.5 北薩分闘長会で)

   「『労安活動に積極的に関わる』(推進する)とは衛生推進者になることも含む。」   

 

 ●鹿教組本部書記長(2016.2 中央委員会で)

   「北薩から出される修正案が否決されるので、(労安が)足踏みする。」

  つまり、「可決されたら前進する」ということですね。

 

 遠回しな表現ですが、本部が何を言いたいのか、みなさんもうおわかりですよね。

 ですから北薩は、もう小さなことにはこだわらないことにしたのです。

 

 その上で今後のことを話します。

 これから職場に求められることは何でしょう?

 

 「一人でもできる」という自立的な方針ではないでしょうか?

 その「魔法の杖」が衛生推進者です。

 

 例えば、学期1回の衛生委員会から超勤削減に至るには、超えなくてはならないハードルがたくさんあります。

 まず衛生委員会の毎月開催、次に衛生委員会で超勤を議題にしなくてはなりませんし、そこで改善策を計画していかなくてはなりません。

 

 

 これを1年で実現できるのは、全国教研での事例でもわかるとおり、衛生推進者をおいて他にありません。

 

 「大変じゃないか」という人がいますが、逆ですね。

 衛生推進者は、やればやるほど楽になるんです。

 やってもやっても楽にならないのは、よほどやり方が悪いか、本気でやってないか、どちらかです。 

 

 現実の衛生推進者の仕事の内容を見てください。

 

 

 90%は超勤対策に専念できます。

 大切なのは、学校に超勤対策の担当者がいるということです。

 既存の組織や今ある力で、それが可能であるということです。

 

 北薩の有資格者は35人いますが、そのほとんどは教員です。

 なぜでしょうか?

 

 超勤多忙の一番の当事者とも言えます。

 

 

 一部職員への「一方的強制を排除」するためには、資格者がどんどん増えればいいのではないでしょうか。

 

 北薩は、夏に「労安講座」を開催します。

 内容は、衛生委員会、衛生推進者、超勤対策の実践です。

 

 内容を一部だけ紹介します。

 例えば、学校の中には法令上の「諮問機関」が一つだけあります。

 それは何でしょうか?

 

 職員会議ではありませんよ。

 

 衛生委員会です。

 つまり、衛生委員会で決まったことは必ず実行されます。

 それぐらい強い権限があるのです。

 

 だから、「毎月開催しましょう」と言っているのです。

   そのことを抜きにして、「超勤を減らせ!」、でも「衛生委員会はめんどうくさい!」とか、言いたい放題なのです…。

 自己矛盾に全然気づいていないんですよね。

 

 こんな目からウロコの「労安講座」、詳しくは「北薩労安」で検索してください。

 

 今後、労安は「足踏みする」ことはないでしょう。

 どうぞ、本部のやりたかったことを、やりたいように、やってください。

 

 それを北薩は、全力で支えてまいります。

 

 がんばろう! 鹿教組!

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

 これまでの発言を整理してみます。

 

●日教組本部顧問弁護団(2016.2 全国教研で)

 

「できるのであれば衛生推進者をやればいい。裏付けのある発言ができ、問題を指摘し改善させることができる。」

 

●鹿教組本部執行委員長(2014.5 支部分闘長会で)

 

「『労安活動に積極的に関わる』とは衛生推進者になることも含めるものである。」

 

●鹿教組本部書記長(2016.2 中央委員会で)

 

「他県では組織として取り組んでいるところもある。北薩から出される修正案が否決されるので、(労安が)足踏みする。」

 

あなたは、これらの発言から何を読み取りますか?

 

  

 ところで、先日ようやくわかってきましたよ、反対の理由。

  

 Aの意見…「できる人はやってみたら?」

 

 Bの意見…「よく分からない」       

 

   「忙しくなる」                 ⇒    だから、反対

 

   「言っても変わらない」

   

 Bの意見は、すべて「自分を基準」にしていますね。

 

自分には”よく分からないから“できない”   ⇒  だから、反対

  

自分には”忙しくなりそうだから“できない”  ⇒  だから、反対

  

自分には”言っても変わらないから“できない”  ⇒  だから、反対 

 

でも、もう一度冷静に考えてみてください。

だれも、“できないあなたに”やってほしいとは一言も言っていませんよね。

  

できる人(やりたい人)”に、やってみたらと勧めているだけですよ。

  

できない人(やりたくない人)はこれまで通り”なのですから、反対する理由にはならないのではないでしょうか?

  

 できない人ができる人に口をはさむのは、論理的におかしいのです。

 できる人の”足踏み”にしかなりません。

 

 最後に、Bの意見に一言だけアドバイスさせていただきます。 

 

よく分からない

やってみないと永遠に分からない

忙しくなる

校務分掌を減らせば済む話

言っても変わらない

成功事例を学習するしかない

 

 

 

正義はいつの時代も少数から始まる…か?

 

 

 

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

 

これまで、北薩が主張し、方針化・実現したこと。

 

 

① 衛生委員会の毎月開催

  

② 勤務時間調査の実施

 

③ 県労安推進委員会の開催

 

④ 支部労安対策会の推進

 

⑤ 衛生推進者の管理職排除

 

⑥ 第2の柱に「労働安全衛生」

     (超勤・多忙化解消と労働安全衛生の一元化)

 

⑦ 校長の人事評価に「労働時間短縮」を対象化

 

残るは…。

 

⑧ 情報公開請求(勤務時間適正化、特定事業主行動計画実績等)

 

⑨ 可能ならば組合員が衛生管理者等を担い、

 

職場の労安体制を推進します。

 

 

簡単に言いますと、

 ・ 

ということです。

 

超勤を削減する取り組みとして、4つの類型があります。

 

あなたは次のどの方法を選ぶでしょうか?

 

類型

職場の

忙しさの

程度

多忙

多忙

多忙

それほどでもない  (超勤月10時間以下)

対策の

方向性

忙しい学校を変えたい

忙しい学校を変えたい

自分はこれ以上忙しくしたくない

自分は今のままでよい

対策の主体

組織

組織

本人

本人

衛生推進者について

自分はやってみたい

自分はやりたくない

自分はやりたくない

自分はやりたくない

対策の

中心

衛生推進者

交渉や

総括衛生

委員会

自己防衛

他力本願

自己防衛

(自分さえよければ)

学校全体としての成果

多忙の軽減(大)

多忙の軽減(小)

ない

ない

個人への

還元効果

全職員が軽減実感。衛生推進者自身も軽減

成果の実感

少ない

多忙。

現状維持が

精一杯

自分は、今がよければよい

結 論

衛生推進者ができる人は、やればいい。1年でも学校が変わる。

交渉・総括衛生委員会でとりくむ。並行して衛生推進者ができる人はやればいい。特に禁止する理由はない。

誰かが軽減してくれるのを待つ。自分は衛生推進者をしない。できる人は勝手にやればいい。自分には関係ないのだから。

自分は衛生推進者をしない。誰かが余計な仕事を持ち込めば、とばっちりがあるかも知れない。だからできる人もすべきではない。

 

●職員健診業務について

 

 十億円の現金輸送車を襲撃する計画を立てている銀行強盗団がいるとします。

 計画は100%成功する完璧な計画です。

 

 いざ襲撃するという段になって、仲間割れが起きます。

 

 「そういえば、以前お前に1万円貸したことがあったな。いつ返してくれるんだ?」

 「はあ?そんなはずはない。あの金はその後返したはずだぜ。」

 「いいや、そんなことはない。今すぐ返せ!」

 「お前が忘れているだけだ。もうとっくに返した。」

      :

      :

 そんな言い争いをしている間に、十億円の現金輸送車は目の前を通過して行ってしまいました、とさ。 (参考:白井聡氏の講演)

 

 経験から言うと、衛生推進者の業務全体を100とすると、「職員健診業務」は5%ぐらいのものです。

 それも、いわばルーティン仕事ですね。

 かけひきゼロの事務的作業です。

 

   具体的にS市のX小の例を見てみましょう。

 県費職員数は全部で36名ですが、45歳以上は全員人間ドックを受診しますし、30~44歳も全員希望する(2年に1回は受診)ことにしていますから、この年代の半数も人間ドックを受診することになります。

 結局、職場の健康診断を利用するのは10名程度なわけです。

 

 その10名ほどのための仕事の内容を見てみます。

 下の表の○印が衛生推進者の仕事と言えば仕事になります。

 ほとんどが文書仕事ですし、管理職がしているところも多いはずです。

 

 

受診名簿提出

職員への連絡

準備・片付け

尿検査

 

なし(児童のついでに実施)

心臓健診

 

なし(児童のついでに実施)

血圧測定

 

なし

血液検査

なし

胸部レントゲン

なし

胃検診

なし

身体測定

   

なし

 

 そのほかの、「結果の通知」「事後措置」「健診票の管理」は校長業務ですし、「健診票の記録」は職員本人がすればよいことです。

 

 ですから、これらの健診業務を全部合わせても年間5時間にも満たないでしょう。

   実体はこんなものです。

 本当にこんな理由で拒否していいのでしょうか?

 

   衛生推進者の一番重要な業務は「健診」ではありません。

 あらゆるデータを駆使して「校長を説得する」という業務です。

 この業務は、衛生推進者以外にはできないものです。

 

  この健診業務を誰がするかという衛生推進者の入口でもめている間に、大事な残り95%を見す見す逃しているのです。

 実にもったいないと思います。

 先ほどの銀行強盗団同様、愚かというか情けない話とは思いませんか?

 

 ゲーテも言っていますよ。

 「大事を小事の犠牲にしてはならない」と。

 

 衛生推進者になって、その先にある95%、つまり「超勤・多忙」の問題に取り組みたい、関心のある人は少なからずいます。

 北薩では講習を自主的に受けた有資格者はすでに35人もいます。

 

 目先の「健診業務」ではなく、柔軟に「衛生推進者業務全体」を俯瞰(ふかん)しているのですね。

 (避けてばかりいるために、衛生推進者業務が何なのかもよくわからずに反対している人もいますが)

 ですから、やる気のある「できる人はやればいい」のではないですか?

 

 自分はやらないのだから「他人事」なのに、それに反対する「積極的な理由」を見出せません。

 なぜ、そんなにかたくななのでしょうか?不思議な話です。

 

 中央委員会(2016.3.4)でも、HのSは

 「Hから出される修正案が否決されるので、(労安が)足踏みする」

 とさえ言っています。

 

 「職員健診業務」をする・しないの議論にどれだけの価値があるのか、私にはまったく理解不能です。

 なぜなら「健診業務」で仮に忙しくなっても、元は十分取れるのですよ。

 それどころか、お釣りだって来ます。

  

 仮にデメリットがあったとしても、私たちはそれをはるかに上回るメリットの大きさから、合理的・理性的な判断ができないものでしょうか?

 プラスマイナスは、プラスなのです。

 

 そもそも、衛生推進者をすることで、ただ「忙しくなる」ような衛生推進者なら、衛生推進者として失格でしょう。

 まともな仕事をしていない証拠です。

 「ミイラ取りがミイラになる」なんて、衛生推進者制度としてはあり得ない話です。

 たとえば、遭難者(職員)を救出するために山に入った救援者(衛生推進者)が二次被害者になるなんてのは、労安の世界では愚の骨頂なのです。

 

 もちろん、全く忙しくならないとは言いませんよ。

 でも、これから「やりがいのあるでっかい仕事」をやろうというのですから、一時的には少々忙しくなったって、多少は無理をしても構わないと自分だったら思いますけどね。

 今以上のプラスアルファの力を出さない限り、現状は何も変わることはないでしょう。 

  

 ある時は、「管理職の仕事だ」「守秘義務がある」と言い、

 またある時は、「責任が問われる」と声高に言い(全く根拠のないデマだったわけですが)、今では、「本務外である」と言う。

 その、理由も後付けで変遷(迷走)しているように感じます。

 

 うがった見方をすると、意地でもやりたくないがための方便にしか聞こえません。

 

 「本務外」?

 未組織が言うなら別ですよ。

 確かに「本務外」と言っておればいいでしょう。

 

 でも、私たちが言っていたのでは、何の発展も可能性もないですね。

 衛生推進者による要求達成のチャンスを逃しているのですから。

 

 そもそも、組合運動だって「本務外」でしょう。

 組合運動を否定しているのと同じ話です。

 

 組合運動を全部できる人はいませんよね。

   できる人が、やれることをやればいいはずです。

 できない人に無理にやれとは、これまでも言ってないでしょう。

 それと、同じです。

 組合員が組合員であることの本質部分です。

 

 「できる人はやればいい。」

 

 ……そのことで、いったい「だれに」「どんな」不利益があるのでしょう?

 

 ……そして、できる人に「待った」をかけることで、いったい「だれに」「何の」得になるのでしょうか?

 

 それらを、明らかにしてほしいものです。

   

   最後にまた例え話です。

 あるとき、山で遭難した人がいました。

 このときは、自分の足で歩こうと思えば、下山することもできました。

 でも、「だれか助けてくれ~」と救援が来るのをずっと待っています。(自分で歩こうとはせずに)

 ちょっと横着ですね。

 

 これと似た現象だと思っています。

 学校の多忙化も、正体はその学校自体に原因が結構あるものです。

 忙しさを自分たちでつくっているのです。

 ならば逆に、自分たちで解消することもできるものも多いはずです。

 自分の学校のことなのに何も取り組まず、「助けてくれ~」と外からの救援を待っているだけの人のなんと多いことでしょう。

 

 できない理由なんて探せばいっぱいありますよ。

 要は、できるかできないかではなく、チャレンジするかしないかなのです。

 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

くわずぎらい【食わず嫌い】①食べたことがなく味も知らないのに、嫌いだと決め込むこと。また、その人。たべずぎらい。

②あるものの真価や面白みをよく理解しないで、ただ初めから嫌うこと。

【三省堂 大辞林】

 

虎穴に入らずんば虎児を得ず

危険を冒さなければ、大きな成功は得られないことのたとえ。

【小学館 大辞泉】

 

「運動論」「組織論」として語り合いたい…。


必要なのは大局観。

 

 

(2015)

  

1.衛生推進者の仕事

  

 衛生推進者の仕事は,労働者が健康で安全そして快適に安心して働ける職場環境を整えていくための仕事を担当する,ことである。

 これまで,交渉等で要求してもなかなか実現しなかった職場の環境を,衛生推進者は担当し,中心になって進めることができる。もちろん,最終的な責任は事業者(管理職)になる。

  

2.鹿教組の方針(案)を各学校で実現するために

 

 K案の労働安全衛生に関わる方針案の内容を見てみると,学校での労働安全衛生に関わる内容については,どれも衛生委員会で対応することが可能である。右の表は,衛生委員会の年間活動計画である。

(数字)は方針案の内容と同じもの・省略》

 

 年間活動計画は,衛生推進者が案を作り衛生委員会で提案する。衛生委員会で承認されれば,後はその計画に基づいて,それぞれの活動を衛生推進者が中心となって進めていくことができる。 

 

 また,Kは昨年度から校内労働安全衛生委員会の月1回開催することに力を入れているが,H内の状況を見ると,月1回開催している学校のほとんどが衛生推進者を組合員が担っている。

 

 Kの方針案にある労働安全衛生に関わる内容はどれも大切なことであるが,それらは,組合員が衛生推進者を担い,中心となって衛生委員会を進めることで,実現することができる,ということになる。

 Iは昨年度,Hでの説明会で「分会員が積極的に関わる」というのは,「衛生推進者になることも含む」と言われた。それを文章化している。

  

3.労安推進委員会の活性化,そして各職場への拡大

 

 Kは一昨年度からK労安体制確立委員会を開催し,各支部でも支部労安体制確立委員会を実施し,実践の交流を行ってきている。

 Hでも,2012年度から労働安全衛生対策会議を開催し,とりくみの交流を行い,支部のとりくみを進めてきた。

 当初,3~4名で進めてきた対策会議であったが,支部のとりくみの結果,昨年度には衛生推進者養成講習受講者(有資格者)が18名となったことから,1月からは,養成講習受講者,各分会に参加を呼びかけている。

 今年度は,衛生推進者をしている組合員も増え,各学校でのとりくみの交流を深め,さらに学習・とりくみが深まってきているところである。

 

「衛生委員会をどのように進めたらいいのか分からない」という組合員も,他校のとりくみに学び,他校の資料を活用することもできる。

 

 労働安全衛生推進委員会も,推進者を担う組合員が増えることによって,さらに充実したものとなると考えられる。

 

 

 

1.衛生推進者5年の経験から

  

 今年は労安が第2章の柱になりました。

 これまでのHの主張が受け入れられたものと歓迎します。当然、取り組みの変化も求められます。

 他力本願でなく、自ら衛生推進者になってがんばろう、という話です。

 

 そもそも衛生推進者とは何か、肝心なことが理解されていないようです。

 

 

2.衛生推進者の仕事

   

   衛生推進者の仕事は、

   ・「教育計画の立案にあたって、労働衛生面からの提案をする。」

 

   ・「①事業者の理解不十分な場合には、②あらゆるデータ③駆使し

④説得する。」

 

 

    

            とされています。(『衛生推進者必携』衛生推進者養成講習教本)

 つまり、

 

① 前提として、校長は理解不足です。

  ましてや、教頭は校長以上に理解不足ですから、推進者はできません。

  

②「あらゆるデータ」を使います。

    データは職務上、推進者に当然手に入ります。

  

③「駆使」です。単に「使って」ではありません。

  最大限に使いこなします。

  

④「説得する」権限が保障されます。

  逆に言えば、校長は説得される運命にあります。

  

 これが基本業務です。初めて聞いた人もいるのではないでしょうか?

 校長からみると、衛生推進者は実に面倒くさい存在なんです。説得にかかってくるわけですから。

 だから、教頭にさせたがるんですよ。

 業務内容について、枝葉の意見がありますが、これが衛生推進者、労安法の本質です。

 

 これだけのことが、一分会にできますか?

 衛生推進者になれば、一気に活動の幅は広がります。

 

 

3.職場では

  

 すると、校長との関係はどうなりますか?

 校長よりも、衛生推進者は専門家として上手に立ちます。

 よく「責任を問われるんじゃないか」と極度の心配性の方がいますが、「責任を問われる」と「責任がある」は違いますよ。

 

 衛生推進者には職員の安全・健康を守る「責任」がある。

 「責任」があるから校長にも強くものが言える。

 逆手に取ればいいのです。

 

 管理職にもならず、4050にして惑っている人はいませんか?

 こんな方へのお薦めは、衛生推進者です。

 

4.「可能ならば」の意味

 

 現実問題、「できそうな人は、やってみたら?」と書き加えたところで(書き換えるのではありませんよ)、強制される人が増えると思いますか?

 そんなわけないでしょう。

   

 「できない人」は、これまで通りです。

 いつまでも「できない」と言っておれます。

 だから、できない人が、これに反対する意味はないです。

 できる人まで、巻き込む必要はありません。

  

 私たちは特定の人に、やってほしいと言ったことは一度もありません。

 何か勘違いしてませんか?

 

   Hでは、今学期中に有資格者、35名になります。(2015年12月現在)

 

 押し付けられてなった人は1人もいません。全部、自分の意思でなっています。将来を見据え、閉塞した職場を、今、変えたいと思ってるんです。

 

5.結論

  

「学問なき経験は、経験なき学問に勝る」と言います。

 

 反対するのは、経験がないからです。

 これまで、経験した人から「やめた方がいいよ」という話は聞いたことがありません。

 職員健診業務を拒否することも、工夫次第で可能です。

 外野からあれこれ言うよりも、1回試合に出てみればわかります。

 もはや反対論拠は、一つも残ってないはずです。

  

 もう終わりにしませんか?

 代案もない。反対の理由もない。…だけど否決。

 むなしさだけが残ります。

 

   ダーウィンも言っています。

「この世に生き残る者は、最も力の強い者ではない。

 最も頭のいい者でもない。

 それは、変化に対応できる者である。」

 

   衛生推進者になって、K、職場にしぶとく生き残りましょう!

 

  

 

(2014)

 

1.誰が衛生管理者等を担うか明確ではない

 原案では「教頭にさせるべきという方針から転換をはかっています」、「各職場での労働安全衛生体制を実効あるものとするために、分会員が積極的に関わって衛生委員会の充実をはかっていかなければなりません」とある。

 したがって、「校長・教頭以外の職員のうち、分会員が積極的に関わる」ことはわかるが、原案に追加することで、方向性をより明確にすることができる。さらに、「可能ならば」と条件付きであるから、「一方的強制排除」とも矛盾しない。

 

2.組合員が担うことの問題点は示されていない

 これまで4回にわたるK労安体制確立委員会における協議、報告等から、「衛生管理者等の役割」が職場の労働安全衛生活性化の鍵を握っていることは明らかになっている。また、組合員が衛生管理者等を担うことに対する問題点、否定的意見も一切出されていない。

 

3.誰が衛生管理者等を担うかによって成果が異なる

 原案「労働時間把握を基にした職場改善に向けた具体策を検討する」ためには、衛生管理者等の関わりが今後一層重要になってくる。例えば、Hでは次のようなことが起きている。

    多くの学校で超勤削減に取り組む中、とりわけ組合員衛生推進者の学校では超勤を大幅に削減している。

    衛生委員会の「毎月開催」は組合員衛生推進者の学校でのみ実現している。

    組合員衛生推進者のサポートによって、医師面接指導の受診、その後の校務分掌の「軽減」を措置させることができた。

    組合員衛生推進者の学校では労安に関する研修や情報周知の機会が確実に増加した。等々。

 

これらの成果は、衛生管理者等を未組織者任せにしておいては到底困難なことであり、「多忙化・超勤排除」、「労働条件改善」といったKの闘いを進める上で、組合員衛生管理者である方がよりその実現性・実効性が高いことをはっきりと示している。

◆ ◆

 

(2014)

 

昨年6月から勤務時間調査が始まりました。

本来ゼロであるはずの超勤時間が、S市では18万時間、過労死危険ラインと言われる月45時間以上は、延べ1,300人ということもわかっています。

 

 ところが、ほとんどの学校、Hも含め、この結果自体把握していません。これで本当に超勤が減らせるんでしょうか?

 これだけのタダ働きがあれば、まずは「社会問題」です。

 給特条例制定当時の交渉当事者だったKは、監視や改善の責任を怠ってはならないはずです。

 

 この待ったなしの状況で、Hの今回と全く同じ修正案は昨年、否決されました。否決した皆さん、この場にいらっしゃいますか?この1年で、超勤は減りましたか?この修正案のように、減ったところ、手を挙げていただけないでしょうか。 

 ないですね。修正案のほうが、成果はあったようです。

 

 原案では、推進者は「教頭にさせるべきではない」そうです。じゃあ、一体誰がするのか?という疑問が残ります。3択です。組合員ですか?未組織ですか?誰でもいいんですか?重要な問題なのに、答えが書いてないんです。

 

 昨年、Hは修正案に対し、「ハレーションがある」と回答しました。

「波風が立つ」と言う意味でしょうか。

 本末転倒です。労働者のいのち・健康問題より、組織問題が優先されています。急ぐべきは、組織内の調整、Hの主体性ではないですか。

 

 一方で、組合員が希望しても推進者になれないというケースもあります。なぜでしょうか?なぜ校長は、「やる気のある組合員」には、させないんでしょうか?

 これこそが、衛生推進者は誰がすべきなのか、という問いの答えです。

 

 Iは先日、Hの説明会で「分会員が積極的に関わる」というのは、「衛生推進者になること」も含むと、おっしゃいました。ここでの「可能ならば」とは、「やる気のある組合員」のことを指します。そこに、わざわざブレーキをかける意味がまったく分かりません。ハレーション談義をしている間に、「漁夫の利」を得ているのは一体誰なのか、もうそろそろ気が付いてもいいんじゃないでしょうか。

 

 そもそも衛生委員会は、開かれないよりは、毎月開いた方がいい。当たり前です。

ところで、Hでは、毎月開催している学校の推進者は、すべて組合員です。他の支部では、例外がありますか?ないですね。つまり、組合員推進者は毎月開催と表裏一体なんです。

 

「本務ではない」とか、「責任は負いたくない」とか。組合員であれば、逃げ道はいっぱいあります。でも、結果的に、人任せ、管理職を責めるだけで、何かが変わりましたか?

「集い、語り合う」のは、いつも職場の多忙、不満。口を開けば「忙しい、疲れた」。これが、果たして労働組合本来の姿でしょうか? 

 推進者をしていると、こんな会話にものすごく違和感を感じます。例えて言うと、「鍵は自分で持っているのに、檻の中から早く出してくれ!」と叫んでいるような話です。その鍵こそ、推進者です。

 

 本気で職場を改善したいなら、グチばかり言ってないで、推進者になればいい。

 少しは自分も汗をかけばいい。一人でも十分できるのです。

 推進者は、いわば時間内組合活動のようなものです。

   やればやるほど成果は出てきます。

 成果があるから楽しくなり、役に立つから、みんなに頼りにされます。

「大変だ」「責任を問われる」なんていうのは、一度もやったことのない人たちの妄想であり、ためにする議論でしかありません。

 

 例えば、最近10年間で4万件の学校・公務災害が起きていますが、衛生管理者が責任を問われた事例を、寡聞にして1件も知りません。

 訴えるのは万人の自由ですから、可能性ゼロとは言いません。でも、それは何の仕事についても当てはまることです。それと現実の可能性がごちゃまぜになって、不毛な論議が続いています。

 

 ところで、皆さんは、Kに入って「職場の未来が明るい」って感じたことがありますか?ぜひとも、この感覚を体験してほしいと願います。土曜授業や評価制度にも、おそらく推進者の出番はあると予想しています。必要なのは大局観、先見性です。手遅れにならないうちに何かを変えないと、今のままでは何もかもやられっぱなしです。

 

 3年間Hは、これからを担う特に若い組合員が職場で誇りを持ちながら、青年部活動の柱として、少ない力で多忙な職場を変えるための方法や成功体験を、試行錯誤しながら真剣に議論し提案してきたつもりです。でも、こんな方法ではダメだというのであれば、遠慮なく否決してくださって結構です。組合員の信義にかけて、これに代わるもっと素晴らしい方法や修正案以上の成果を、「来年こそは」持ってきていただけるでしょうから、それを楽しみにしたいと思います。

 

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  (2013)

 

   疾風に勁草を知る。

 本当にHの方針が間違いなく優れたものであれば、少々の修正案など物ともせず、堂々と採決に耐えられるはずでしょう。

 

 K規約第45条「議決権の行使は、自己の良心の自由においてなされなければならない。」

 皆さん代議員、一人一人に自由に独立した議決権が保障されています。何人もそれを制限することは許されません。そうでなければ、修正案なんて通るはずはありません。それが最も民主的であるはずのK大会の大前提であることを付け加えて、皆さんの「良心」に訴えたいと思います。

 

 単刀直入に聞きます。超勤が減っているところ、手を挙げてください。

 Hは13年前、「労安で職場は変わる」と言っていました。実態はこんなものです。でも変える方法はあります。それがHの修正案です。

 

 この議論で必要なのは、単なる反対意見ではありません。対案です。衛生推進者なんかにならなくても超勤は減らせるという筋書きです。

 増え続ける病休者、志半ばで辞めて行った仲間たち、山積する教育課題…。突き詰めれば元凶は多忙でしょう。

 職場は「待ったなし」です。スピードが求められます。対案なき批判は、「無責任」です。

 

 よく読んでください。

 「可能ならば」と書いてある。できない人に無理強いするわけではありません。

 労働者の健康・安全を守るという大義の前に、「衛生推進者になることは、組合の選択肢の一つである」という、ゆる~い提案です。あえて、「受け入れられない!」というほどの内容ですかね?

 

 労安は与えられるものではありません。

 労安は「事業者任せ」でできるものではありません。

 労安は、職場のみんなで、つくっていくものです。

 その中心にいるのは、教頭ですか、組合員ですか、それ以外ですか、という選択です。

 

 物事は、人にさせるより、自分でやった方が手っ取り早く、うまくいくという経験はありませんか。本気で超勤を減らす気があるなら、人任せにしないで、自分で段取って、自分で切り盛りしていく方がうまくいきます。

 組合活動は、本務じゃないですよね。

 私たちは、本務じゃないけど、がんばっています。

 衛生推進者も本務じゃないでしょう。本務じゃないけど、内容は組合活動みたいなもんです。だから「可能ならば」やってみたら?と言っているんです。

 

 Hの見解をお聞きしました。

 Hは昨年の採決結果を未来永劫コンクリートするつもりですか?

 大事なのは、ここに示した成果を直視することです。目をそらさないでください。

 労働時間を守れない組合って、本当に「労働組合」って言えますか?30年間の自問自答です。

 

 明日は、今日よりも良くなっている。

 そんな希望のある方針を、現場は日夜待ち望んでいます。

 中島みゆきも歌っています。

   ファイト! 闘う君の唄を 闘わない奴等が笑うだろう

   ファイト! 冷たい水の中を ふるえながらのぼってゆけ

  義を見てせざるは勇無きなり。

  みなさんの「良心」に訴えて、意見を終わります。