違反する理由➋ ルールを理解していない
ルールを知っていても、なぜそうしなければならないかを分かっていないとき、ルールは軽視されます。
そのためには、超勤が違法であり、労基法が強行法規であるという重い認識がなければ、本当に理解したことにはなりません。
法令を守らないことは服務規律違反に問われます。
1日7時間45分、週38時間45分の労働時間以外は勤務の対象ではありません。
強制力の担保として罰則があります。
法定労働時間違反や法定休憩時間・年休違反については、使用者は6カ月以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
【労基法121条】 この法律の違反行為をした者が、当該事業の労働者に関する事項について、事業 |
主のために行為した代理人、使用人その他の従業者である場合においては、事業主に対しても各本条の罰金刑を科する。ただし、事業主が違反の防止に必要な措置をした場合においては、この限りでない。
2 事業主が違反の計画を知りその防止に必要な措置を講じなかつた場合、違反行為を知り、その是正に必要な措置を講じなかつた場合又は違反を教唆した場合においては、事業主も行為者として罰する。 |
ここで「事業主が違反防止に必要な措置」をした場合、刑は免れるとあります。
「必要な措置」とはどの程度のことを言うのでしょうか。
▶ そのようなことをさせてはならないという注意書を各職場の入り口にはっただけでは措置をとったといえない。 (甲府地裁1951.3.14)
▶ 一般的に(何条の)違反無きよう防止せよと注意しただけでは足りない。(大阪高裁1950.11.25)
つまり、口先で注意しているだけではダメなわけで、何らかの防止措置を講じておかなければなりません。
これを「手段債務」と言います。
したがって、逆に言いますと、一定の結果に向けて社会通念上で要求される相当な手段を尽くしておけば、結果はどうであろうと責任を問われること(結果債務)は無いとも言えます。
上記のような違反行為は、民間企業であれば労働基準監督署に告発することができますが、公務員はそういうわけにはいきません。
人事委員会への措置要求という手段になります。
ですが、これは使用者や事業者が民間か公務員かの違いだけであって、やっていること自体は刑事罰を求めるのに等しい違法行為です。
ですから、これらのルールの意味をきちんと理解させることが大切になります。