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●●「50人未満」を理由としてはならない

50人未満」を理由としてはならない

【労基法1条 労働条件の原則】

この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから、労働関係の当事者は、この基準を理由として労働条件を低下させてはならないことはもとより、その向上を図るように努めなければならない

 

 

 

 

 

 

労基法は労働条件の最低基準を定めていますが、この最低基準を理由として労働条件を低下させてはならないことになっています。

 

一方、安衛法は労基法とは元々一緒の法律で「相まつて」いるので、労基法の原則を受け継いでいます。

 

つまり、安衛法の方も「この基準を理由として」労働条件を低下させてはならないことになります。

 

具体的には、衛生委員会を設けるための基準である「50人以上」という最低基準を「理由として」労働条件を低下させてはならないことになります。

 

最低基準を“上回って”A小では38人でも設置しているのに、この基準を悪用し、すでに実在する「学校衛生推進委員会」や「衛生委員会に準ずる組織」を実質的に衛生委員会でないようにすることはできないのです。

 

もしそんなことをすれば、労基法違反に問われることになります。

 

勘違いしてはならないのは、設置義務がないということは、設置してはならないのではなく、むしろ「その向上を図るように努めなければならない」のが安衛法の趣旨だということです。

 

ですから、基準以上のものを努力して設置することが必要ですし、大いに推奨されるところです。

 

労働条件をあえて悪化させる合理的な理由はどこにもありません。

 

これを裏付けるように、『労働法』(松岡三郎・労働省法規課・自由国民社,1996)でも、「衛生委員会の性格や付議事項は、最低の基準を示すものであるから、労使ともにそれよりも上回る内容を定める努力をすべき義務がある(労基法1条)。

 

50人未満の事業場にも、毎月1回開催の衛生委員会を設置し、衛生に関係する労働時間その他のものを討議の対象とし、さらに、事業者はそれらの結論を最大限尊重するという労使関係の確立が期待される」としています。

 

 

また、市の規程に「毎月開催」と書いてある必要はありません。

 

上位法である安衛法に書いてあれば十分です(さすがに市教委も「学期1回」とは書けなかったのです)。

 

安衛法では、毎月開催しないと目的が達成できないので、わざわざ「毎月開催」と具体的に規定していると解釈できます。

 

ですから、それを敢えて下回ることは法の趣旨に反することになるのです。