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担保➒ 勤務条件に関する措置要求ほか

担保➒ 勤務条件に関する措置要求ほか

【地公法46条 勤務条件に関する措置の要求】

職員は、給与、勤務時間その他の勤務条件に関し、人事委員会又は公平委員会に対して、地方公共団体の当局により適当な措置が執られるべきことを要求することができる。

【地公法58条 他の法律の適用除外等】

労働基準法、労働安全衛生法の規定により職員に関して適用されるものを適用する場合における職員の勤務条件に関する労働基準監督機関の職権は、人事委員会が行うものとする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

事業者の中には、知っていながら「確信犯」的に安衛法を無視・違反する場合もあります。

 

法令遵守、服務規律を唱えるべき事業者(地方公共団体の当局)が違反行為とは言語道断ですが、その場合の対応策として人事委員会への「措置要求」があります。

 

措置要求制度は、職員の労働基本権制限の代償として設けられたもので、人事委員会により、その裁量の範囲内において適法な判定を受けるという手続上の利益を、職員の権利あるいは法的利益として保障しています。

 

ここでの「勤務条件」とは、「職員が地方公共団体に対して自己の勤務を提供し、または、その提供を継続するか否かの決心をするに当たり、一般的に当然考慮の対象となるべき権利関係事項を意味する」とされています。

 

これには、給与・勤務時間・休憩時間・休暇等、職員がその勤務を提供するに際しての諸条件のほか、労働安全・衛生・執務環境、福利厚生に関する事項等勤務の提供に関連した待遇の一切を含みます。

 

したがって衛生推進者の選任、衛生委員会の開催、職場環境の改善、労働時間の把握、医師による面接指導の実施、恒常的な時間外勤務の解消等の具体的な措置を求める要求は、上記勤務条件にあたるのは言うまでもありません。

 

この場合、安衛法の何条に違反しているということを明確にして、当事者本人が要求することになります。

 

人事委員会は実態を審査して違法状態が明らかな場合は、勧告等の是正措置を取ります。また、措置要求をした者が不利益を受けることも一切ありません(法972)。

 

 

職員が自由に措置要求をするために、その妨害に対しては罰則(地公法615)をもって対処し、権利行使の機会を保障していることに表れているように、この制度は、職員の権利・利益の救済制度であり、単なる恩恵的な制度ではありません。

 

ですから、適法な措置要求に対して人事委員会がその裁量を逸脱して必要な勧告をしなかった場合には、職員の権利・利益の救済の期待を違法に侵害するものとして、取消訴訟の対象となります。