●法の形式的効力の原理
では、安衛法の目的と市規程の趣旨が抵触する場合、どのようにとらえればよいのでしょうか。
この場合、法令の上下関係から上位の法が下位の法に優先することになり、下位の法は上位の法に反することはできません。(法の形式的効力の原理)
つまり、下図の力関係になります。
つまり、市規程は安衛法の規定に違反することはできません。(地方自治法14条1)
仮に市規程によって、安衛法に違反する規定を設けたとしても、そのような規定は無効になります。
ですから、先ほどの市規程に「快適な職場環境の形成」が含まれないとしても、上位法である安衛法の規定にはもともとあるのですから、安衛法の規定が優先されます。
S市の規定をすべて注意深く見ていくと、必ずしもS市規程は安衛法の趣旨を十分反映しておらず、重要な規定も欠落していて、貧弱な規程であることに気づきました。
ですから、安衛法を優先的に見ていく方が確実な解釈につながります。
したがって、ここでの結論として、安衛法の目的をA小の目標にしたわけです。