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●衛生管理者教本では

衛生管理者教本では

衛生管理者の教本『衛生管理』(中災防,2010)でも、次のように解説しています。

 

ラインの役割

多くの事業場では、事業の円滑な推進のため、ライン(業務の推進組織)と労働衛生管理のスタッフ(支援業務)の制度を有し、事業者はこのラインとスタッフそれぞれの機能をうまく組み合わせて各種の事業を推進している。安衛法では、労働衛生管理は事業者責任とされていることから、事業者の行為を代行する立場にある管理者は、一般的には事業者から任された範囲においては、事業者とともに労働衛生管理責任を持たなければならないことになるしたがって、ラインの管理者の立場にある者は、衛生管理者等のスタッフの支援を得て部下の職業性疾病の防止や健康管理についてもその責任と権限のもとに実施なければならない立場にある。

 

つまり、業務を指揮するライン(校務分掌組織)の管理者である校長、教頭には「労働衛生管理責任」がありますが、スタッフである衛生管理者の責任についてはふれていません。

 

例えば「過労死するから残業をやめさせるべき」と事業者を説得するのは衛生管理者の措置・権限ですが、説得があろうとなかろうと職員に直接「早く帰れ」と言うのが事業者やライン管理者の責任なわけです。

 

 

実際に、安衛法違反事案がニュース記事になることがありますが、これらのどれを見ても送検されるのは事業者か、現場のライン管理者(現場監督者)に限られています。

 

実体は「幽霊の正体見たり枯れ尾花」。

責任を問われるから「怖いこわい」と思っていた衛生推進者の業務も、よくよく調べてみたら怖くもなんともなかったという話です。