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●衛生推進者の使命

 衛生推進者の使命

 

「事業者に責任がある」ことと「事業者の責任を果たす」ことは同じではありません。

 

例えば、職員の勤務時間を適正管理する「責任がある」のは事業者(校長)ですが、この事業者責任をどうやったら果たすことができるか、そのために事業者をどう説得するかは、衛生推進者の手腕にかかっています。

  

衛生推進者養成講習の教本である『衛生推進者必携』(中央労働災害防止協会,2009)には、次のように書かれています。

 

衛生推進者は、事業者の労働衛生についての考え方を生産の場に具体的な形で実践する役割を果たすとともに、生産計画の立案などにあたっての労働衛生面からの提案をし、事業者の労働衛生についての理解が不十分で、必要な措置が講じられない場合には、あらゆるデータを駆使して説得するという積極さが望まれます。

 (ここでの「生産」は「教育」と読み替えれば良いでしょう)

 

つまり、事業者たる校長が率先して、例えば超勤削減に取り組み「具体的な形で実践する」のがが本来あるべき姿ではありますが、それが叶わない場合には、衛生推進者が校長以上に一歩も二歩も労働衛生に精通し、「あらゆるデータ」を「駆使して」校長を「説得」して超勤削減施策を推進させるというのが労働衛生の現実の姿であり、むしろそのことを前提としているのです。 

 

逆に言えば、校長の理解が十分で労働衛生の措置が講じられているのであれば、衛生推進者など元々必要なく、労災も起きなかったのです。

 

でも、実際はそうではない。

 

ですから、超勤削減は校長の責務ではもちろんありますが、その責任を果たさせるためには、具体的に担当する人が必要であり、その担当者こそが衛生推進者なのです。