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●長時間労働解消が喫緊の課題

 長時間労働解消が喫緊の課題

 

ところが、「作業管理」、中でも長時間労働は慢性的で職員の心身を蝕んでいます。

 

2006年の文科省調査によると超勤は月平均34時間(小中学校教員)でしたが、OECDの2013年調査(TALIS)では月60時間程度(中学校教員)となっており多忙化の一途をたどっています。

 

さらにこれと連動するように、2013年度(文科省調査)の病休者数は全教職員の約1%の8,408人、うち精神疾患は5,078人、病気退職1,271人、現職死亡504人で依然として深刻な状況が続いており、他の職種と比べても“職業病”とでも言えるような状況です。

 

「忙」という字は「心を亡ぼす」と書きますが、実によくできた漢字のつくりだと感心させられます。

 

まさに多忙は心のバランスや正常な判断力を失わせ、健康を損なう原因となっています。

 

2008年の安衛法改正により、50人未満の労働者を使用する事業場に「医師による面接指導」が義務化されましたが、学校職場の長時間労働はまさに職員の健康問題と直結した課題と言えます。

 

同時に、いじめや不登校など、学校で起きている子どもたちの様々な問題の背景にもやはり教職員の多忙があると言われています。

 

職場の最低基準さえ守られない労働現場では、教職員は日々追い詰められ、子どもの心に向き合った十分な教育などできるはずもないのです。

 

教職員の心にもっと余裕があれば、学校はまた違ったものになっていることでしょう。

 

 

ところが、事業者(教委)もこれらの事情を知っていながら見て見ぬふり、日頃職員には法令遵守・服務規律を厳しく説く割には、自らに課された責任や服務規律は放棄して不作為を決め込んでいます。

 

他人に厳しく自分に甘いのです。

 

本来、労働者の違法なサービス(「自主的」)残業で成り立つ(あてにする)ような事業などあってはなりません。

 

しかしながら、そこは事業者トップも生涯学校以外の世間を知らない悲しさで、労働力確保のためのコスト感覚も必要とされない学校ムラ社会では、職員が声を上げなければ何事も問題とはならないのです。